フィラメントはどれだけ必要か
作業台では2つの問いが繰り返し出てきます。残りでこのプリントは最後まで持つのか、そしてこのプロジェクトには実際どれだけフィラメントが要るのか。どちらも、重量と長さの同じ換算に行き着きます。必要なのは素材の密度とフィラメントの直径だけです。
新品スプールに入っている量
| 素材 | 1.75mm、1kg | 2.85mm、1kg |
|---|---|---|
| PLA | 約 335 m | 約 126 m |
| PETG | 約 327 m | 約 123 m |
| ABS | 約 400 m | 約 151 m |
| ASA | 約 389 m | 約 146 m |
| TPU | 約 344 m | 約 129 m |
| ナイロン (PA) | 約 365 m | 約 137 m |
| PC | 約 346 m | 約 130 m |
ABSは同じ値段でPETGよりかなり長く使えます。一般的な素材の中でもっとも密度が低いからです。これはキロ単価ではなく、パーツ単価に効いてきます。
換算式
フィラメントは円柱なので、計算は単純です。
長さ (m) = 質量 (g) / (密度 (g/cm³) x π x 半径 (cm)²) / 100
1.75mmの断面積は約0.0241 cm²、2.85mmは約0.0638 cm²です。つまり1.75mm PLAは1メートルで約3グラム、2.85mm PLAは1メートルで約8グラムになります。
逆方向は同じ式を解き直すだけで、フィラメント計算ツールが素材と直径を問わず即座に計算します。
スライサーが教えてくれること
どのスライサーも、スライス後に重量と長さの見積もりを表示します。たいていはプリント時間の隣、サマリーパネルの中です。重量の数字を使ってください。はかりで検算できるのはそちらだからです。
スライサーの見積もりは優秀ですが正確ではありません。完璧な吐出を前提にしていて、あなたの流量倍率、パージライン、失敗した1回目のことは知りません。見積もりに5%ほど上乗せして考え、サポートや多色のパージタワーを使うならもっと余裕を見てください。
このスプールの残量
目で見ても分からず、メーカーも助けてくれません。だから量ります。
残りのフィラメント = はかりに載せた総重量 - 空スプールの重量
空スプールの重量こそ、みんなが持っていない情報です。良い順に選択肢を挙げます。
- メーカーの仕様を確認する。 ラベルに空重量を印刷しているブランドも、サイトに載せているブランドも多くあります。値はおおむね130-250gです。
- 同じブランドで使い切ったスプールを量る。 同一製品ラインなら安定しています。
- 種類から推定する。 紙管コアは130-180g、射出成形プラスチックは180-250g、繰り返し使えるはめ込み式は200-220g前後が目安です。
ブランドごとに一度この数字を得れば、二度と考えずに済みます。風袋重量を保存しておく在庫管理が作業台での暗算に勝るのは、まさにこのためです。Gyroidが差し引くので、スプールを量れば残りグラム数がその場で更新されます。
だいたいの目安
1.75mm、0.2mm層、インフィル15-20%での実用的な概算です。
- 3DBenchy - 約12 g、およそ4 m。
- 20mmキャリブレーションキューブ - 約4 g。
- スマホスタンド - 20-40 g。
- デスクオーガナイザーや小箱 - 60-120 g。
- 薄いシェルのフルフェイス・コスプレヘルメット - 400-800 g、通常は複数パーツに分割。
- 大きな収納ボックス、200mm角 - 300-500 g。
つまりPLA 1kgスプール1本は、Benchyおよそ80個分、ヘルメット規模のプロジェクト2〜3件分、あるいは刷ったことを後悔する非常に大量のキャリブレーションキューブに相当します。
プロジェクトの見積もり
複数パーツのものは、重量で計算し、余裕を足し、最後に一度だけ換算してください。
- 各パーツをスライスし、重量の見積もりを控えます。
- 合計します。
- パージ、スカート、たまの刷り直し用に10%足します。背が高い、反りやすい、サポートなしのパーツがあるなら20%足します。
- 満タンのスプールではなく、実際の手持ちと比べます。
プロジェクトが破綻するのは4番です。同じ色の使いかけスプール2本は、染料ロットが違えば満タン1本の代わりにはなりません。そして途中で色が変わったパーツは、救済ではなく刷り直しです。
プリント途中で切らさない
現実の失敗は「フィラメントがない」ことではなく、12時間のプリントの9時間目に切らすことです。防ぐ習慣は2つ。
- 残量と見積もりを、刷り始める前に比べること。あとではなく。
- 残量の下限しきい値を設定し、スプールが失敗の原因になる前に自分から知らせるようにすること。
Gyroidはプリントを記録するとスプールから残量を差し引き、しきい値を下回ったスプールに印を付けます。計算は一度で済み、警告はプリントより先に届きます。グラム数と一緒に金額も見たいなら、フィラメント計算ツールかコスト計算ツールで先に数字を出しておいてください。